MAX塗り黒立ち上げ亜流講座


この講座、恐ろしく久々にG-stガンプラ講座の更新となりますが、これが僕の現在の塗装法のうち、一番多用する方法です。

そして、ずっと前に「白立ち上げ」は紹介しているので、前置きや詳しいことはそちらをご参照頂くとして、

今回はこの「黒立ち上げ」についてご紹介致します。今回はかなり理屈っぽいので、エアブラシ塗装に慣れている方向けです。

ちなみにこの方法は、本家本元のMAX塗り黒立ち上げとは違うところが多いので、その辺はご了承下さい。

MGグフカスタムを例にとってご紹介させていただきます。


黒立ち上げとは?

…………MAX塗りの「白立ち上げ」に対する、「黒立ち上げ」。やり様によってはとんでもない重厚感が出せます。主に渋い・重い仕上げにしたい時に重宝します。


下地=ベースグレーの調色


今回のベースグレーのレシピ

黒系を中心に白系、グレー系、
他にネービーブルーや
ミッドナイトブルー、
あとカウリング色など暗い青緑系
を混ぜて作りました。

この調合したベースグレーの色味が
後々になって影響しやすいので、
基本色と色味を合わせておくことを
オススメいたします。

〜あんまり良くない例〜
茶系ベースグレー→青い基本色
緑系ベースグレー→赤い基本色
MAX塗りでは、何はともあれベースグレーを塗らねばなりません。

前回は「ベースグレーMAX」なんていう商品を使ってみましたが、今回はないときの為に、買えない方の為に、ってことで

「自分で作るベースグレー」について少々。

基本的にベースグレーという名前だけあって隠ぺい力が高いことが条件となります。

隠ぺい力が高いということは、下地を覆い隠す力が高い、というそのままの意味。

まずはパーツを真っ黒にしなければならないのがMAX塗りの基本ですが、

その真っ黒にする上で隠ぺい力が高い「ベースグレー」を使うことによってより楽に、簡単に全面真っ黒にしてしまおう、ということなんです。

ちなみに一般的なベースグレーのレシピとしては黒大量+白少量+いろんな塗料ごちゃまぜ、こんなトコだと思いますが、

このイマイチよくわからないであろう「ごちゃまぜ」の部分は、本当にいろんな色を混ぜてください。

数多の塗料を混ぜることによって、隠ぺい力がより向上するからです。

この時の注意点としては、いくら数多の塗料といえど、クリアー塗料や蛍光塗料は混ぜない方が懸命です。

なぜならばこれらは染料系塗料と呼ばれるもので、隠ぺい力向上には大して機能しないからです(しかも「にじみ」等弊害が出る恐れあり)

あと、ベースグレーのツヤの加減が、あとあと仕上げ方によって影響する時もあります。

万が一の為にベースグレーの光沢加減は光沢〜半ツヤぐらいにしておいた方がよいかと思われます。

まあ、なんにも考えないで黒をばーっと吹いても全然問題はないんですけどね(笑)

ただ、それだとあまりに黒がもったいないので(大笑)、いろんな塗料を混ぜて、隠ぺい力を高めるついでにカサを稼ぐわけです。

う〜む、黒の徳用ビンでないかなあ……便利なんだけどなあ


グラデーション4階調塗り〜明度アップバージョン〜


明々色:基本色+白大量
明色:基本色+白
基本色:一番始めに作る色
暗色:基本色+黒
今回グフの塗装に使った、調合した4色です。

写真左から明々色、明色、基本色、暗色(長瀬呼称:セカンドシャドウ)です。

それぞれ基本色に対し黒を加えたのが暗色、逆に白を加えたものが明色、さらに多めに白を加えたものが明々色です。

まずは一番始めに基本色をかなり多めに作り(希釈としては7倍以上ぐらい)、その上で各容器に分配、その上で白黒を添加します。

白や黒を加えることによって、彩度が落ちるかも、と不安な方は極少量の「蛍光色」を混ぜてみてください。

一応今回は僕もあくまで気休め程度に、極々少量の薄め〜な「蛍光ピンク」をいれています。

吹き過ぎでダマが
出来ないように注意!
さてまずは暗色(セカンドシャドウ)を吹きます。

この色味とエッジの黒残し加減によって、完成後の全体の重さ、暗さが全く違ってきます。

僕はあまり極端にドギツイのは好きじゃないので、このセカンドシャドウにおいてはギリギリいっぱいまで吹いてます。

ちなみにMAX塗りでは吹く時、エア圧をかなり下げて写真みたいにここまでパーツに近づけます。

もちろん、なかなか色はついてくれませんが根性と時間でカバーです。

〜暗色〜
下地黒と基本色の仲介
写真が暗色を塗り終えた状態です。感覚的にはブルーグレー、って感じでしょうか?

とにかく暗い関係の色は塗り残しがあるとあとあと明るい色でカバーできないので、

特にC面や、完成後陰になる細部まできっちり塗りましょう。

ここでしっかり塗っておけばゴマカシもなんとかできますよ(笑)

〜基本色〜
色味の方向性の決定
基本色を塗った状態です。この色味が完成後全体の大体の色味の方向性を決めると思ってくださって結構です。

あと、暗色を塗るときと比べ、気持ちエッジを残し目で吹いてください。

下地を全て覆ってしまってはグラデーションになってくれないんです。

ここから先、一番気をつけなくてはならないことは塗料濃度。とにかくシャビシャビなぐらい薄くする意味がここから先に証明されます。

下地を一発で隠してしまうようでは、このMAX塗り独特の微妙な溶け出しが殺されてしまいますし、

多少エッジにかかったって気にしない♪なんていう寛大な塗り方にはならなくなってしまうんです。

ちなみに僕流のやり方ですが、この時点でC面等の細部は終わります。

〜明色〜
明度向上
明色を塗った状態です。もうほとんどこれで完成に近い色味といっても過言ではないでしょう。

逆にいえばこれで完成、となってもなんら問題ありません。お好みでどうぞ。

ちなみに吹き方にせよ、注意点にせよ、基本色と理屈は一緒です。

大方の面は、この明色で終了しています。

〜明々色〜
ハイライト(下地を引っ張る)
最後のトドメ、明々色です。

この工程だけは少し特殊で、今までの色がほぼ全パーツに塗っていたのに対し、明々色は「広い面」にしか吹きません。

広い面とは、例えばこのスネのパーツ。他にはスパイクアーマーや、モモ等のことです。

あと他には頭部など、目立って欲しい部位に吹きつけます。

しかもハイライトとして吹きつけるため、本当に少ししか吹きつけません。(全然吹き足らないじゃん!ってぐらい)

この明々色を吹きつける効用は、明度を「引っ張れる」こと。

例えこれより下の色が暗かろうと、このハイライトのおかげで全体の色味を明るく見せることが可能になるのです。

乾燥してしまうと色が落ち着いてきて、塗った直後のこの写真ほどハデに明るさに差がでるわけではありませんが、

明色までで終わった場合に比べ、ハイライト効果がある分だけ色調に違いが出てくれます。



概念図

さて、左図を御覧下さい。上での写真の概念図です。

一番下にある土台がベースグレーの塗膜、

1層目の赤が暗色、2層目の緑が基本色、

3層目の黄が明色、4層目の白が明々色です。

各色段階的に塗り重ねた状態をイメージして僕なりに図にしてみました。

少々分かりづらいかもしれませんが、

段階を踏むごとに塗る面積が狭くなっているのがお分かりでしょうか?

はっきり言って意図的にきっちり同じバランスで各色の間隔をとることは、僕には出来ません。

ですが、気持ちとして「少し狭い目で〜」なんて念じながらエアブラシをしていると、

なんとかなってくれるもんなんです(笑)

要はあせらない気持ちと、根性です。

失敗しても目立たないのがMAX塗りの特徴ならば、

時間をかけてゆっくり塗る必要があるのもMAX塗りなんですね。



スネスラスター上部の
グラデーションの見取り図
ちょっと表示色がエグいですが(笑)、塗装写真と概念図を組み合わせてみました。

とりあえずこんな感じで色味が変化しているはずです。

本人としても完璧にグラデーションしてる!って断言できないのがなんですが(笑)、

それは控えめが好みである、ってことでご勘弁を。

みなさんが実際に実行される場合は、

みなさんのお好みで色味の調節及びグラデーションの調節をしてみてくださいね。


おしまいに

とりあえずこの塗り方は、かなりめんどくさい塗り方に入ります。

ですが、僕は大好きです。

なぜなら、今の時点の僕にとってはジオン系にもっともマッチする塗り方だからです。

実際にHJでのMAX塗りのハウトゥー特集時も、この講座用にはドムが選ばれていました。

やはり曲面主体によく似合うのでしょうね。



冒頭でも述べましたが、僕のやり方そのものがHJに載っていたやり方とは大分変わってきています。

始めは本を片手に、参考にして・・・いや完全にマネて塗装していました。

ですが作品数を重ねるにつれ、いろんな模型誌を読むにつれ、

より自分のしやすいように、アレンジを加えたり吹き方が多少細かくなったり、大雑把になってきたりと、大きく変化してきました。

多分これからも変化していくでしょう。自分でもそう思います。



みなさんにこのコンテンツを参考にしていただけるならこんな嬉しいことはありません。

そしてさらに、これをご自分でアレンジして、モノにしていただけると僕はもっと嬉しいです。

では、この講座がみなさんのお役に立つことを願って、筆を置きたいと思います。

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